20代の女性に聞いた「息子が出来たら読ませたい少年マンガ」のアンケート結果が発表された。
トップ10のうち七作品が『週刊少年ジャンプ』に連載されたマンガとなり、日本のマンガ市場での「ジャンプ」の寡占状態が、改めて確認された形だ。
●第1位「SLAM DUNK」
○第2位/「ONE PIECE」
●第3位/「ドラえもん」
○第4位/「ドラゴンボール」
●第5位/「ブラック・ジャック」
○第6位/ 「タッチ」
●第7位/「北斗の拳」
○第7位/ 「キャプテン翼」
●第9位/「ジョジョの奇妙な冒険」
○第9位/「こちら亀有公園前派出所」
1968年に創刊してから、数々のメガヒットを生み出し時代を形作ってきた「ジャンプ」。この雑誌の強みはいったいどこからくるのだろうか。
◆ 経済評論家が読み解く「ジャンプと資本主義」
「ジャンプ」がこれだけ国民的な雑誌となっていながら、その歴史を分析した評論などは、実は驚くほど少ない。その中でも昨年出版された『「少年ジャンプ」資本主義』は、ジャンプ作品を「資本主義」という観点から読み解いた興味深い一冊だ。
著者の三ツ谷誠さんは金融機関に勤務しており、マーケティングや経済学の本を出したこともある「経済評論家」。作家・村上龍氏のが編集長を務める経済メールマガジン、『JMM』の執筆者の一人でもある。
本書では『男一匹ガキ大将』『ドラゴンボール』『ONE PIECE』などを取り上げ、「蟹工船より海賊船!」という興味深い提言をしている。このあたりは最近の「格差」「ロスジェネ」の議論とも関連している。
◆ 「海賊王におれはなる!」が持つメッセージ
『蟹工船』は戦前の作家・小林多喜二が書いたプロレタリア文学の代表的な作品で、貧困にあえぐ労働者の実態を描いた小説として高い評価を受ける作品だ。格差社会論が浸透し、労働条件が悪化する今日、再び読まれ、メディアに取り上げられる機会が増えている。
「蟹工船派」の代表的な人物が作家の雨宮処凛さんで、雨宮さんは政府や経営者に対し、
「生きさせろ=貧困に苦しんでいる人たちを助けろ」
と本や雑誌、イベントなどで主張している。
だが三ツ谷さんは本書で、「蟹工船より海賊船(ジャンプのロゴマークは海賊であり、現在最も人気のあるマンガ『ONE PIECE』は海賊マンガ)」と述べている。
『ONE PIECE』の主人公・ルフィのように、
自分の船で航海し、信頼できる仲間を見つけろ
というメッセージだ。ルフィには「海賊王におれはなる!」というあまりにも有名なセリフがあるが、経済学の視点からみるとそれは「ベンチャースピリット」の表れなのかもしれない。
(小山内)
(画像引用元)
Amazon.co.jp: 「少年ジャンプ」資本主義: 三ツ谷 誠: 本
(アンケート引用元)
escala cafe | みんな、どう思ってる? 20代女子ランキング
(参考リンク)
東京エスノ : 【調査】20代女子に聞く「息子ができたら読ませたい少年マンガ」ランキング 1位:SLAM DUNK、2位:ONE PIECE – ライブドアブログ
小山内 聡(おさない そう)
漫画とアニメとゲームが好きで軍事オタクの文系大学生。趣味はノンフィクションを読むこと。
はてなダイアリー『日の丸海賊団』で書評を書いています。
http://d.hatena.ne.jp/kurohige-ossadot/
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